「クララがへたった!」そして血涙の大団円① [400Xの整備]
押忍。
師走である。
前の記事を書いた「悪夢の11月」が遠い昔のようだ。
今回の原作(血涙)
なし崩し的に「クララが立った!」ことにした、前回の強制ハッピーエンド。
やはり無理があった。
てか罠だった。
「キャブをバコッと外して付け直しただけで、またどこかおかしくなるんじゃなかろうか」
という俺の思い込みは間違いじゃなかった。
邪神「珍車の神」(またの名を「ドウサ・フリョウ」)の大いなる悪意のほんの序章だった。
使徒が5・6体まとめて攻めてきて、やっとの思いでやっつけたら、
最後に戦自が攻めてきた!みたいな。
そんな血涙まみれの物語。
逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃ・・・ダメか?・・・
ほんっとーにダメか?
前の記事の翌日。
意を決してキャブのニードルバルブアッシを二つとも交換。油面もきっちり合わせる。
これでオーバーフローとは完全決別!明るい未来が待っているはずだった。
が!
快調にアイドリングするエンジンを一旦切り、メットを取りに部屋に戻り、
再びエンジンスタート、駐輪場から出そうとすると・・・
アイドル激落ち!?激しくバラつく!?
俺が部屋に戻った数分間に!
一体なにが起きたというのか!?
一体なにが起きるというのか!?
停車状態ではアイドルは回復し、動かしてブレーキをかけるとまたバラつく。
・・・揺らすとアカンの?・・・
ブレーキを握り、車体をガックンガックン揺らすとエンジン止まった・・・
・・・
おまえ!それでもバイクか!!(血涙)
テストランの道中も、信号で停車するたびに発症する。
失意のまま、夜の整備によく利用する墓地公園の休憩所へ。
一服しながら、この2週間の報われない七転八倒を思い返し、しばしボーゼンとする。
目の前の墓碑は奇しくも「長谷川家」(身内ではない)・・・
思わず問いかける。
「一体なんなんスかねぇ・・・」
ひょっとしたら、
近所迷惑を気にして、夜な夜な墓地で整備しているうちに、神仏の怒りに触れたか、
もしくは悪い霊か妖怪が、俺か3号機に取り憑いてしまったのかも、とか。
「そういえば俺、今年前厄だけどお祓い行ってねぇな・・・」とか。
思考は人外の領域、オカルトに原因を求め始める。
人間、ここまでくるとかなり末期だ。
ひとしきり落ち込んだ後、帰ろうとエンジン始動。アイドルはバラついたままだ。
「一体なんなのよ!?」と半ばヤケ気味に、
車体に跨った状態で、両手でキャブをぐいっとこじってみる。すると・・・
アイドルが回復する!?
今度はキャブを押し下げてみると・・・またバラつく!?
てことは、やっぱりインシュレーターからの二次エア!?(短絡思考)
オカルト思考からは脱出できたものの、気持ちは晴れない。
左側インシュレーターはもう欠品なのだ。
一体どうすれば・・・
ワンオフ?でも金属とゴムの複合製品のワンオフなんて・・・
いよいよ「キャブにバスコークか液体ガスケットベタ塗り!」しかないのか・・・
いや、その前に!何か俺にできることは・・・!?
・・・
で、
深夜のキッチンで、中古のインシュレーターをオイルで煮てみた。
理屈ではない。
野菜は煮ると柔らかくなる。
しかも一旦冷ますと味がよく染みて一層美味しくなるのだ!!
・・・
人間、ここまでくると完全にあっち側だ。
オイルは半端に残っていたカストロール。ちょうど「ひたひた」の分量だ。
「油に菜箸を差し入れて、細かい泡が出たら油温170~180℃(天ぷらの適温)」
というのはよく知られる主婦(夫)の知恵だが、
今回は揚げ物用過熱防止装置が作動する230℃まで加熱してみた。
鍋から煙がモウモウと立ち上る!
おお!なんか楽しくなってきたぞ!?(錯乱)
(後日、年末の大掃除を待たずにレンジフードのフィルターを掃除したのは言うまでもない)
高温のオイルの中、中古インシュレーターは新品に近い柔らかさ、弾力を取り戻している。
・・・いけるか!?
・・・数十分後。
冷めたインシュレーターは元通り、カチカチに・・・当然大きさも変わらない。
ま、わかってたけどね・・・
「ふん!明日の朝になったらもっと味・・もとい、油が染みてるかもしれないじゃん!」
と、寝る前から寝言をほざきつつ、この日は寝る。
この鍋、どうしようね・・・
・・・
ここで少し正気に戻って真面目な話を。
今回新品を入手するまで、「400Xのインシュレーターの経年劣化」というと、
「ガバガバに拡がって二次エアを吸う」というイメージを持っていたが、
新品と中古を比べてみると、中古の方が小さく、縮んでいた。
右が新品。
これは2バレルキャブ故の独特なインシュレーター形状によるところもあるのかもしれない。
全体が縮み、また、ゴム自体の弾力が失われることで、
ノーマルクランプでは(新品でも)きちんと締め付けることができなくなり、
二次エアを吸ってしまうようだ。
(「縮んだならむしろガッチリ密着してくれよ!」と思ってしまうが・・・)
後日談になるが、最終的に今回は新品インシュレーターは使用せず、
ノーマルクランプをやめ、ステンレスバンド(幅11mm/直径90mm)を使用した。
これも真円のまま使用すると、インシュレーターが均一に締め付けられずにたわみ、
二次エアを吸ってしまったので、予めノーマル形状(楕円形)に変形させて使用した。
結果は上々!さらば!ワンオフの危機!液ガスベタ塗りの危機よ!!
・・・あれ?てことは・・・?
というわけで話は戻る。
・・・
さて、翌日。
インシュレーター交換のため、タンクを外す。
キャブを外そうとしてふとチョークワイヤーに目が行くと、
ワイヤーのアウターカバーの端(金属部分)がラバーキャップから飛び出している。
(註:画像はラバーキャップを外した状態)
・・・もしかして、チョークが引かれてる?・・・これか!?
アウターをきちんとワイヤーホルダーに収めて、ラバーキャップをはめて、
・・・始動!!
ビンゴオオオォ!!ビバ!!4気筒!!
なぁんだ!俺のうっかりさんめ!!
なにインシュレーター煮てんだよ!!ただの組み付けミスじゃーん!!
「チョークが引かれていたためのアイドル不良」と結論付け、
心軽やかに試走に出る珍獣・・・
しかし!!
物語はまだ序章、
そして性急に出された結論は全て罠!!
これで終わると思うなよ!?(終わりてぇ・・・)
続く!!押忍。
・・・
<次回予告>
手に入れた仮初めの平穏は短く儚い・・・(ぶっちゃけ1時間弱)
次回!
「電装トラブルの西の横綱」の!
怒濤の波状攻撃に、珍獣最後の切り札までもが・・・!!
さらに!
チョークワイヤー周りに頻発する不可解な現象・・・
沈黙する2気筒(2・3番)!!
落ちるアイドリング!!
万策尽きた珍獣、そして3号機に未来はあるのか!?
期待せずに待て!!押忍。
ウチのヤツ、タペット調整で別モンになって帰って来たしー!
とかいって、走ってたら低速で特集と同じよーな症状が(号泣)
特集、心眼でよんでます(血涙)
とりあえず、うちも見てみます。チョークのラバーキャップ周り。
あと、やっぱし、イグナイター。なんとかしてぇですな。
コイツだけは油断ならんっっ。
高くてもいいから、他のスズキ400と共有化してくれてて信頼性があがっていればー。さっくり買うんですがー。
by hen (2011-12-04 22:32)
>henさん
押忍。コメント有り難うございます。
仮初めの平穏は短く儚いのですね、やはり(涙)
ウチと全く同じ症状なら、
チョークワイヤー周りの
・プランジャのスプリング(折れ・へたり)
・ワイヤホルダの0リング(劣化、・切れ)
・ワイヤホルダ本体(割れ・締めすぎによるネジ山のなめ)
が問題なければ、
ラバーキャップだけ新品に替えてみてください。
ネタバレギリギリ!いや、心眼で見抜かれてるかな?(笑)
真相は続きをお楽しみに!!押忍。
by 珍獣ハセガワ (2011-12-05 23:47)
なるほど!このお休みにちょっとみてみますわ。
エンジンの激調子よくなっただけに切なくて(涙)
しかし、チョークワイヤー周りあたりってこんなにデリケートなのか。
他の単車もそうなんかなぁ。
by hen (2011-12-07 00:43)
>henさん
押忍。お察しいたします(涙)
ワイヤ周り、想像以上にデリケートでした。
それだけにタチが悪かった・・・!!
先のパイロットスクリュのOリングといい、
インシュレータといい、
今回は全てミリ以下の攻防でした。
二次エア恐るべし!!
4連キャブの場合、
本体ノブ式にしてもワイヤ式にしても、
4体を貫通する一本のシャフトで更に個別のシャフト
(プランジャ)を動かすため、
気密を保持する部分の劣化は、
我らがアイサンのラバーキャップに比べれば
(動きが無い分)少ないのではないかと推察します。
そもそも!
ワイヤーの先にプランジャが直接付いてるキャブなんて
そうそう無いのでしょうね(涙)
おっと完全にネタバレ(爆)上等!押忍。
by 珍獣ハセガワ (2011-12-08 18:36)