I Like You

別れの春。


一ヶ月前、桜の花が散りゆく中。

一人のバイク乗りが、

悪い冗談みたいな事故でこの世を去り。



数日前、

自分の心に忘れられない歌を何曲も刻んでくれた、

一人のロケンローラーが天に召された。



悔しさは、悔しさで。

悲しみは、悲しみだ。



故郷から遠く離れた地で執り行われたバイク乗りのお別れには、

彼の古くからの仲間が、１０００ｋｍ以上の距離をものともせずに駆けつけ、

彼のために泣き、彼の死を悼んだ。


ロケンローラーの忌の際には、

何十年も彼と共にステージに立ち続けた一人のブルースマンが、

ベッド脇に寄り添い、彼の旅立ちを見送った、と聞いた。



悲しみの、ではない涙がこぼれる。



不謹慎かもしれないが。


よかった、と。

心から思う。



魔法など信じないが。


亡き人のために捧げられた祈りや思いは。

それだけは。

彼らの元に届いてほしいと願う。

自分の祈りもその一欠片であれ、と

心から願う。



どうか安らかに。

I LIke you.